The traveller in Dreams

うたいびとのささやき

バンドの中で叩くということ

ドラマーとして、参加した唯一の3ピースバンド。

 

彼はよく自分を振りまわしてくれたよ。
「どんなとこ住んでんの?」
ってMTRとギターもって来て、
勝手にレコーディング。


休憩がてらパソコンで遊んで。
(ふー、別にいいんだけどさ)


あるとき、
「普段、パソコン、何に使ってるの?」って
「レポートとか、MIDI[音ならすやつ]とか」
と答えたら、
「どんなのつくってるの」って

一番マシなやつを聞いてもらった。
(まぁ、彼のプライドの高さから何か言われるんだろうけど)

「ふーん」
って、また遊び始めた、今度はMIDIで。

(あの……まあいいか)

 

あー、そうだよな。
(気ままに遊んでいるように見えたけど)
よく考えたら
MIDIが使えるかどうか
彼自身の曲に活かせるかどうか。

試していたんだな。

音楽に対してアンテナを張って人一倍努力していた。
プロになる。って行動していた。


そんな意識もプライドも高い彼が
なぜ、よく自分に意見を求めていたのか。

ドラマーとして一緒に曲を作りあげていく。
それはオリジナルをやるうえで当たり前なことだけど、
それだったら、彼は作る曲のレベルが高いから、
そんなに多く意見を聞く必要なんてなかった。

(誰にも評価されることのなかった)
コンポーザーとしての側面を見てくれていたんだ。

彼自身の曲をさらに良くするために。
ドラマーとしてコンポーザーとしての意見を聞いてたんだ。


「この(ギターのひずみの)音どう思う」なんて
普通の学生ドラマーに聞かないよね。(パート違うし専門でもないし)
「なんか狭いというか、レンジっていうのかな」
そんな意見言ったけど、プライドの高い彼は受け入れて、
ギターの録音をもう一度していた。

「これ(曲の構成)どう思う」って言われたときは
「サビからイントロAメロに戻るのは違和感がある。おかしい。」
って言った。
〈なんなの、そんなこと言えるの、レベル高くない曲つくるし〉
ってなっても、おかしくないよね。
違うんだよ彼は、曲を昇華させて、無二の曲を作ったんだ。


ドラムが下手だったから自分の代わりはいくらでもいる
(窓口や雑用長をしていたから、残れていたと)
そう思っていたけど。

バンドの一員として役に立てていたのだな。